えいこ

太陽がいっぱいのえいこのレビュー・感想・評価

太陽がいっぱい(1960年製作の映画)
4.2
美しすぎるアラン・ドロンを堪能する。
何を着ても素敵。シャツの胸元をあれほどあけても、派手なストライプのショーツだけでも、いやらしくも陳腐にもならないのは唯一無二。

クライムサスペンスだが、犯罪を犯すトムに初めから感情移入してハラハラする。薄っぺらで下衆なはずなのに、アラン・ドロンの魅力なのか、そんな子供っぽさ、危なっかしさに、バレないで、とドキドキする。前半のフィリップの酷い扱いを見せることで、観る側の気持ちをトムに寄せているのかも。

男男女3人パターンは、女を挟んで男二人のせめぎ合いが普通だが、今作は、フィリップの奪い合い。お金への渇望もあるが、トムはフィリップに憧れてフィリップになりたかったのだろう。マルジュも手に入れて、さあ、というところでのどんでん返し。ラストシーンの衝撃。

アラン・ドロンの青い瞳とマリー・ラフォーレの金色の瞳、どちらにも吸い込まれる。ざらっとした黄色い画面に南イタリアの海と太陽が荒っぽく映えて、明るい破滅に似合う。
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