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あのこは貴族のいいんちょのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.9
よかった…。渋谷区・松濤の良家生まれ女と、街全体がガサツな地方生まれ上京組の女、出会うはずじゃなかった2人の出会いを描く。原作未読だけど、山内マリコ作品に出てくる、シャッター街と下品な男とそのセフレしかいない地方、ホントいいよなー。絶対帰りたくないと思わされる。

いいシーンがいっぱいあって。一つは、水原希子が山下リオと2ケツするシーン。ほんま東京って自由で最高なんだよって思わされる。し、一周回って、タラレバ言わなくていいじゃん楽しいならと思えてくる。山下の「独身だからって子ども憎んでると思われたら悔しいじゃん」で、ハッとした。

もう一つは門脇麦が大きな橋の途中で立ち止まるシーン。対向車線側の歩道を、彼女と生まれが違うのが一目で分かるヤンキー女2人がこれまた楽しそうに2ケツで自転車に乗ってて、門脇が彼女たちに手をふる。それに2人も手をふり返す。「住む世界」がちがっても分かり合えるかもという期待感が漂う1コマ。

門脇麦のお見合い行脚パートも笑った。挙動不審なウーマン村本(風)、のっぺりした松田龍平、そしてうるさいだけの関西人ときて、最後に高良健吾! そりゃ恋に落ちないわけないわ。

途中、石橋静河が演じるバイオリニストが、作り手の言いたいことをそのまま言ってんじゃん!(たしか山内マリコ本人も対談で言ってたような)ていうところはあるけど、まあそれはよい。

そうだよね。階層違ってもステータスが違っても分かり合える奇跡を信じたいよね、となる一作。
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