mihoppy24

あのこは貴族のmihoppy24のネタバレレビュー・内容・結末

あのこは貴族(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

今年に入って良い邦画が沢山公開されてるけど、本作ももれなく良かった。
もう一回観に行こうと思ったし、帰りに原作も購入した。
それくらい沁みた映画だった。

最初は主人公2人の配役は逆の方がいいんじゃないかと思ったけど、むしろこの配役以外考えられないくらい互いにハマっていた。
華子役の門脇麦さん、台詞が少ないのに表情や目の動きだけで華子の感情の動きを微細に読み取れ、流石。

私自身、地方出身で大学から上京しこっちで働いている所謂"東京に搾取される側の人間"だから、美紀や美紀の友人の言葉や気持ちが手に取る様に理解できた。
若干の居心地の悪さを抱くあの実家の空気感から、地元の同級生の狭い世界しか知らないが故のあのイキリ感まで、もう田舎そのもので、上手いなぁと。

何が良いって、階層の違う普通じゃ交わらない女同士が男を巡って三角関係になりかけた(というか既になってた)のに、全く交戦しないこと。
普通だったら女同士攻撃し合う展開になると思うんだけど、全然そんなんじゃなくて、むしろ互いに理解しあう具合。
確かに、私も学生時代に階層の異なる女の子と関わることがあったけど、対立なんかしないしちゃんと共存してたなぁ。
でもそれって、下の階層の受容というかある種の諦めがあってこそ成り立つものだと思う。
美紀があの時幸一郎との関係をすっぱり断ったのも、美紀自身が自分の置かれている階層を痛いほど理解していたからなんだろうな。

階層が違っても、息苦しい時代を生きる女性として互いを理解し合い、共闘しながら自分の人生を選択していく2人にとても勇気をもらった。
私も搾取される側じゃなく、むしろ搾取していく心意気でぼちぼちやっていこう。
mihoppy24

mihoppy24