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あのこは貴族のsakiのネタバレレビュー・内容・結末

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


映画なんて、さびしさとともにあるものだと思うから。という言葉がキリキリと痛む今年の邦画たち、傑作揃いだなぁ

教育、育ち、生き様
おとなと呼ばれる歳になってしまったからには仕草から溢れ出て、思想は滲み出て、それがどうしようもないものだと気付く。
後天的に身につけられるものはあっても所詮は取り繕うに寄ったもの。放つに至るにはまだ時間が足りない20代の今だからこそ素直に受け入れられた作品だったかもしれない。

「今日はめかしこんでるなあ」といわれるミキの黒のニットに赤のスカート
「そんな服で行くの」「気合入っててもねぇ」というセリフで使われる華子の赤のスカート。極め付けには圧倒的日常の中でふたりが会うシーンで華子の普段着はミキのそれ。秀逸。細かい。

大事な時はいつも雨
という高良健吾の出てくるシーンが終盤に近づくにつれ雨が降らなくなっていく演出

華子の衣装やホテルの関係性も然り
この映画、全部が細かくて丁寧

自分の意思じゃないものは自分のことでも他人事、というのは綺麗で無駄のないセリフでしっくりきたなぁ
終盤のに全部ミキちゃんのものだもの、の締めもありがとうございます

「だって私たちってそういうふうに育てられたきたでしょ」
「違うお育ちなんでしょうね」
「そういう風に、育ったってだけ」

繰り返される育ちへの言及
東京という雑多な街で、慶応の男1人を介して分断されているはずの2人が出会うわかりやすさ。

同じ階層の人しか出会わないようにできてる東京。親の人生トレースして生きてるだけ、って田舎だからじゃなくふるさとの共通ルールなのかな

私らって東京の養分だよね、って笑いながら2ケツできる女友達を描いてくれて本当に嬉しい。邦画でもシスターフッドが熱を帯びてきてこれからに期待大..
橋を挟んだあの子達みたいに心動かしながら生きていきたいな

水原希子も門脇麦もめちゃくちゃよかったな〜〜あの軽やかさは水原希子やったからなりたってた気がする。「ずっとそう言って欲しかった気がするから」に泣けた。あぁこれを言わせたかったんだな、という「話せる人が〜」も。毎日家で「今日ね、」とお話しできる生活、私はずっとなかったから幸せが込み上げて涙にしかならず感謝倍増した。

色々書いたけど、どこがどういいとか論点がどうとかいう話ではない良作
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