原作の著者、山内さんは地方格差やその中での暮らしぶりを描くのがリアルで、『ここは退屈迎えに来て』も観返したくなった。
『ここは退屈迎えに来て』では主人公はすっかり都市に馴染んだ存在として、地元で憧れの眼差しを向けられる。本作のミキは、久しぶりの地元の同窓会で「都会デビューしたんだね。笑」と揶揄される。
しかし、どちらの主人公も地方か都市どちらかが「優れてる」とか、そういう話で終わるわけではなく、地方と都市の間に隔たるあらゆる格差の存在を描き出している。
こと、本作においては、女性同士の間で勝手に作られる分断という隔たりへの抵抗も絡められる(女の子たちって裏で陰口いいあったりするんでしょ?みたいなやつ)
華子と美紀を、同じ赤のプリーツスカートからはじまり、一人の男性、都市、階層が接点となり繋げていく。
音楽だけ少しハマりが悪く感じた。
心理描写が豊かなのは原作小説だけど、映画は要所要所で印象的な台詞が登場するが、感情描写が多くない分多くの人がどこかのワンシーンで自分の経験と引き寄せてみることができるんだろうなと思った。