何がテーマなのか全く理解できなかった作品。
2000年に公開された同名のドキュメンタリー映画を原作としているそうなので、シンプルにタミーの生涯を描いたとは考えにくい。
だったらドキュメンタリーの方が何倍も訴えるものが多いだろう。
実際に脚色を多くしてこの物語を世に出した以上、何かしらテーマとなる訴えるものが無いと納得できないのだが、それがまったく見えてこない。
キリスト教と政治の癒着による腐敗?どんな苦境でも信じあう夫婦?女の強さ?タミーの特殊な人物像?どれもストーリーには入っているが、焦点はどこにも合っていない。
いっそキリスト教のプロパガンダぐらい美化してくれた方が分かりやすいのだが、そこも中途半端。
2人の宗教を使った詐欺はしっかり描いているが、その宗教自体への批判は無い。
では思いっきり叩いているかというと、ジム・ベイカーの刑がなぜか45年から5年に短縮されたり、出所後また詐欺まがいの伝道を繰り返していたりってのは全くパス。
タミーも夫収監後に離婚して、不動産開発業の男と再婚。その再婚相手も詐欺で逮捕されていることには触れていない。
このことから伝道を使った詐欺を働いた2人への批判がテーマではないことが分かる。
では「信じる者は救われる」ってのを描きたかったのかというと、これも全く話には出てこない。
結局「おもろい夫婦」的に波乱な人生を送った二人を物珍しそうに眺めるだけの内容。だったら、ドキュメントの方が数倍分かりやすいし、今作の存在意義自体疑問になる。
「で、何が言いたいの?」って作品だろう。
余談。
今作ではレイプで世間の目を集め、その後の裁判では宗教団体に寄付されたお金を着服したってのが一番の罪状となっている。
例えば
「100万集めました。50万を恵まれない子のために寄付し、50万手数料でいただきました。」
さて、これは称賛される行動か、非難される行動か?
「助かった子供がいるんだから」と考えるか、「人助けで寄付した金をお前が使うな」と考えるか。
私は後の考え方かな。
だから24時間テレビが大嫌いなんだな。