泡沫

星火の泡沫のレビュー・感想・評価

星火(2013年製作の映画)
4.0
大躍進とは名ばかりの暴政によって街を埋め尽くした餓死者を見、中央政府に訴え出ようとした人々の証言に圧倒される。裁判にかけられ、あるいは死刑あるいは懲役や労働刑になった人達には学生もいれば体制側の党幹部もいる。高い知性と志、これがインテリというものなのかー…苦労して歳をとってもみなそれが変わらない。あの時は若かったから無茶をしたとかそういうことを言わない。飢饉は自然災害によるものではなく政治に原因がある、それを正そうとして何がいけないと今でも言えるのである。党を打倒しようとかいうのでなくて、あくまでも腐敗を止め「民主社会主義」を実行しようとしたと語る様子は資本主義に染まり切った私には目からうろこであった、本来の社会主義の理想を信頼しているのだろう。
インタビューのさなかに電話で横槍が入ったりする緊迫感もあり、私のような勉強不足のものにも中国の大きさ(闇も可能性も)を感じさせるドキュメンタリーだった。
「飢餓を目の当たりにしながら中央に報告しない役人」の話、「雍正王朝」だったかの古いドラマに出てきた悪徳地方官吏は本当はそういう連中を暗に描いていたのかもしれない。
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