kanarin

アンモナイトの目覚めのkanarinのレビュー・感想・評価

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)
4.3
観賞後も余韻で波の音がずっと耳の奥に残っている。
冒頭の床を拭く女性の手、蝋燭のゆらめく炎、発掘作業の過程、見つめる視線、触れ合う手、、など好きが詰まっていた。
ケイト・ウィンスレットの存在感が素晴らしい。目で語る表情も働く者の手も逞しさも強さも弱さも繊細さも全てが美しくかっこいい。
シアーシャ・ローナンは本当に可愛いなと。脆さと強さの絶妙なバランスが素晴らしく、とにかく透明で美しい。

しっとり落ち着いた湿った空気の中で、抑圧された感情から繊細に歩み寄る過程、情動に突き動かされたその先まで静かに熱く丁寧に描かれていて、息を呑みながらラストへ向かう。肖像画が重なるシーンからラストショット、エンドロールにかけての美しさは涙もの。
潮騒とピアノの音に2人の解放された幸せな姿を想いたい。
kanarin

kanarin