ぽんつくちゃん

旅立つ息子へのぽんつくちゃんのレビュー・感想・評価

旅立つ息子へ(2020年製作の映画)
4.5
障害をテーマにした映画を観てて
『実はこんなことが得意な天才肌なんですよ』『こんな才能があるんですよ』と強調されると
『そうじゃない人を見えないふりしてるんじゃないの』と急に腹が立ってしまうことがあるんだけど
この映画は「ギフテッドなんですよ」は全く出さずに淡々と息子と父親のやりとりを見せる
作中『息子さん、数字をよく覚えられるんじゃないですか?自閉症の人の話を聞いたことがありますよ!ある人はワシントンの航空写真を一度見ただけで書き写したそうですよ!』と、初対面のバスの運転手さんから善意100%で言われた時、お父さんが聞こえてないふりをして反応しなかったのがすごくリアルで
まさに今、自閉スペクトラムの子供を育ててる私は
今までのいろんな体験が蘇ってきて
ああ、あのとき私も聞こえないふりしたらよかったんだなってなんか急に泣けてきちゃった。

お父さんは『この子には自分しかいない!』と思って頑張ってたけど
意外と支援は手厚かったり、我が子を理解してくれる人は自分以外にもいたり、本人も対応できることが増えたり。
健常者、障害者、関係なく
『思ってたよりよかったね』の積み重ねで
人生は続いていくのかなぁと思った

結末もよかった。
何度も涙がポロッと溢れてしまった。いい映画だった。