さ

二月のさのネタバレレビュー・内容・結末

二月(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

子どもの頃は意図的に祖父の真似をしていたのだけど、いざ壮年期になると意図せずとも自分の祖父になんとなく似てきてしまう。自分の結婚を祝う行列は、いつの間にか歳をとった姉の葬列と似ている。夏のような、人生の盛りを過ぎた人間は何を思うのか、って話。
少年期を見守る自然の温かさが眩しい。子どもの頃に体験した少し不思議な経験ってどうして一生覚えているのだろう。あの羊小屋の雰囲気やそこにあった欠けた彫刻が素敵。(その後のハッとするようなサントラも)

どんな映画を見た時も感じるけど、映画が終わって自分の人生に強制的に送り返されてしまう痛みみたいなのが特に強く残る作品だった。
眠くなる映画とそうでない映画の2つのカテゴリーがあるとすれば前者な作品だけど、そういう作品を見た時はいつもエンドロールでめちゃくちゃに焦る。それまで散々、いま何割終わったかなって斜め上を眺めていたくせに、エンドマークが出ると掌返しでえ?もう終わり?って。クレジット2時間ぐらいあっていいから何か考えさせてくれ。まだ終わるな。

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TIFFで観た感想を発掘してきたけど映画のことは断片的にしか覚えてない。ただ忘れる前に記録しなきゃって、シネマズから大江戸線に向かいながらメモを開いたことは覚えてる。帰り道に忘却って概念が後ろからひたひたと追ってくる系映画のひとつで、つまりちょっと時間が経つとその作品について語る言語がすっかりどっかに行っちゃうようなやつ。現にいま自分が痛みなるものを感じたことすら忘れてた。でも結構波長が合う作品だったし、ちゃんと映画祭体験してたと思う(感想が日記みたくなるのもきっとそのせいだ)。
さ