二月の作品情報・感想・評価

「二月」に投稿された感想・評価

さ

さの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

子どもの頃は意図的に祖父の真似をしていたのだけど、いざ壮年期になると意図せずとも自分の祖父になんとなく似てきてしまう。自分の結婚を祝う行列は、いつの間にか歳をとった姉の葬列と似ている。夏のような、人生の盛りを過ぎた人間は何を思うのか、って話。
少年期を見守る自然の温かさが眩しい。子どもの頃に体験した少し不思議な経験ってどうして一生覚えているのだろう。あの羊小屋の雰囲気やそこにあった欠けた彫刻が素敵。(その後のハッとするようなサントラも)

どんな映画を見た時も感じるけど、映画が終わって自分の人生に強制的に送り返されてしまう痛みみたいなのが特に強く残る作品だった。
眠くなる映画とそうでない映画の2つのカテゴリーがあるとすれば前者な作品だけど、そういう作品を見た時はいつもエンドロールでめちゃくちゃに焦る。それまで散々、いま何割終わったかなって斜め上を眺めていたくせに、エンドマークが出ると掌返しでえ?もう終わり?って。クレジット2時間ぐらいあっていいから何か考えさせてくれ。まだ終わるな。

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TIFFで観た感想を発掘してきたけど映画のことは断片的にしか覚えてない。ただ忘れる前に記録しなきゃって、シネマズから大江戸線に向かいながらメモを開いたことは覚えてる。帰り道に忘却って概念が後ろからひたひたと追ってくる系映画のひとつで、つまりちょっと時間が経つとその作品について語る言語がすっかりどっかに行っちゃうようなやつ。現にいま自分が痛みなるものを感じたことすら忘れてた。でも結構波長が合う作品だったし、ちゃんと映画祭体験してたと思う(感想が日記みたくなるのもきっとそのせいだ)。
[季節の循環、生命の循環] 60点

2020年に鑑賞できた数少ない東欧映画なのに、TIFFで上映された当日はしっかり爆睡してしまったので2021年はそのリベンジから始めることにする。カメン・カレフの長編最新作である本作品は、ペタルという男の人生を少年期、青年期、老年期の三つに分けて語る叙事詩的な作品である。少年期は"過去"と題され、誰もいない大自然の中を祖父と共に羊番をして暮らした短い日々が思い返される。黄金色の大地、青々とした森を歩き回りながら、ただただ目の前を流れる退屈な時間を少しでも有意義に楽しく過ごそうと世界を探求していく。青年期は"軍務"と題されるが、ペタルの壮大な結婚式で幕を開ける。緑と黄金だった第一部の色は、婚礼衣装の赤とセイラー服と海の青に取って代わられ、兵役に就いたペタルの人生はこれまでと全く別の彩りに囲まれる。また、彼らの号令によって舞台が共産主義政権時代であることが分かり、ペテルの人生には農業国ブルガリアの工業化という近代史が反映されていることが分かる。老年期は"二月"と題され、全てが枯れ果てた真冬の大地で独り生きる老年ペタルに寄り添う。彼のやっていることは少年期と大差なく、大きな循環(季節やら生命やら社会構造やら)を映画の中に感じることが出来る。その他にも少年期の羊→青年期のカモメ→老年期の馬/人間といった動物の変遷や、色の変遷なんかも対比されている。どれも記号的で、それが面白いかというとあまりそうとも言い切れないものの、たまに見える風土みたいなのがちょっと面白いので悪い気はしない。
pherim

pherimの感想・評価

4.1
ブルガリアの辺境に生きる寡黙な男。
その生涯を3篇構成により描く。

羊飼いの祖父と暮らす少年期にみた幻視。入隊の誘いを断り羊飼いの道を選ぶ青年期。そして決断の刻を迎える老年期。荒涼さが先に立ち、物語的快楽の欠如が潔く感じられるほど充溢の時間が漂う。この音無しの余韻は稀有。
メラ

メラの感想・評価

4.1
【自分の道で自由に進め】【東京国際映画祭】
動物を愛する寡黙な男の幼少から老年期までを映したヒューマンドラマ映画。

極限までセリフを削ぎ落としたブルガリア映画で東京国際映画祭というイベントでないと見ることが出来ない作品でした。
ブルガリアの自然のダイナミックさを味わえるようなアート映画ですが「自分には自分の道が存在する」「自由に進むことが人間らしさである」というメッセージを直感で作り上げて、どこか古めかしい肌触りを味わえるところに魅力が存在してて好きな作品です。
何も描かれていないキャンパスに少しずつ色や線が足されていって徐々に絵として見えてくる。けれどもその絵は大まかには伝えるけど細かい部分は自由に解釈できる、そんな絵を作り上げる過程を楽しむような映画でした。

ミニシアター系でもかかるか分からないほどに万人向けの作品とは言えないが、たまにはこうゆう作品に浸るのも良いと思える一時を楽しめました。
「何も起こらなさすぎて」私はちょっとこれ、ん〜と思ってしまった。人によりけりだと思いますが退屈なんですよね。お好きな方には刺さると思いますが、この手の作品は90分以内にしていただきたいです。
東京国際映画祭4日目 鑑賞

少年、青年、老年期、季節の巡りの中で
人間は生きて行く
終始静かに進む内容で、人生を見つめ直したり、何かに迷ったときに見るにはもってこいの作品なのかなぁ。
ほぼ音楽無しで、自然界の音が心地よかったけれど、心地良すぎて現実世界に留まるのがなかなか厳しかった。
硬い発音のブルガリア語と自然界の音色が不思議な感覚。
Terrra

Terrraの感想・評価

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ブルガリアの辺境の地で自然と一体化した生活を送る老人→孫→羊→鳥→婚礼→種付け→兵役→鳥→老人→ロバ→葬儀…
言い方は悪いが映画祭映画で見慣れた、ミニマルでとても美しく静かな作品。1975年生まれのカレフ監督の祖父がモデルとのことで世界の広さを実感する。
監督は制作準備段階で新藤兼人『裸の島』を観たり、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督から影響を受けたそう。
2020/11/03
東京国際映画祭
TOHOシネマズ六本木ヒルズ
1853Perry

1853Perryの感想・評価

3.7
東京国際映画祭

ソフィアの夜明けの監督ね!ってチケット取ったけど、わたしが思ってた映画、ソフィアの夜明けじゃなかったわ。。。
あさがくるまえにだったわ。。。

まあでも、こんな感じかぁ〜。
おじいちゃんまで飛ぶのか!ってなった。
ロバ?生きてて良かった。
飽きちゃうかと思ったけど飽きなかった!
最初のおじいちゃんの口のモゴモゴ気になる。
チーズ美味しそうだけど臭いのかなぁ。
ケフィア?

レンガそうやって使うのかぁ!
東京国際映画祭
東京プレミア2020

『二月』

自然の摂理に従って生きていく男の姿を、雄大な景色と共に淡々と映し出していく。叙情的な映像と透き通るような音楽は、心に直接語りかけるように、自然への畏怖とその生命力を体現していた。台詞は少なく長尺だが、決して退屈なものではなく、心に余白を生み出してくれる。人生において"死"と"言葉"の存在が、いかに大きいものなのか問いを投げかけていたようにも思え、観る者の解釈に委ねるような作品だった。

(鑑賞者:あみ)
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