安曇

Summer of 85の安曇のネタバレレビュー・内容・結末

Summer of 85(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます


話としては典型的な、主人公がヤバ男に急激に惹かれてひと夏の恋に落ちる系の話。

良かった点としては同性愛者限定の青春作品でないところ。別れのきっかけや恋人を失った後が男女のカップルと変わらないことで、多様性の世の中に適した作品かと思う。
あと画角、お洒落だった。ニケツバイクツーリング。移動型遊園地。心配性の親。海。ジュブナイル表現に大事な80年代の夏のファッションとカラーが詰まっていた。
スピードの話が
「スピードの彼方を目指してるんだ。だから速度が上がってる感覚がない」
「スピードの彼方に行くとどうなるの?」
「スピードの泡に飲まれる、そうすると自由になれる」
(うろ覚え)
どんな会話なんだよそれ!怖い話をする美少年×2。イイ。
あとはダヴィドの子の演技が良かった。目が綺麗だったな。

イマイチだった点としては、主人公に感情移入ができなかったこと。ダヴィドに強烈に惹かれるきっかけ、別れの後の自暴自棄になる過程の描写が足りない。
要所要所で自分が主人公なら「こんなヤバい奴とは付き合えない」と思うのだが、主人公はそんなところは気にしておらず当然のように受け入れている。若さや依存など理由はいくらでも作り込めるだろうけど、今一真剣度が伝わってこなかった。
それが「理想の親友」「見たいものしか見ない」に繋がるのだろうが、主人公の「見たいもの」が明確でないため伝わってこなかった。(フランス映画の悪いところ)
あと、この邦題(?)だと数年前のジュブナイルホラーやブライアン・アダムスの名曲と比較されるだろうが、名前負けしていると思う。原作通り「おれの墓で踊れ」ではダメだったんだろうか。
安曇

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