映画好きの柴犬

人数の町の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

人数の町(2020年製作の映画)
3.7
実際、選挙って、やろうと思えばいくらでも偽装できるよね

 借金で首の回らなくなった男(中村倫也)が奇妙な町に連れてこられ、共同生活をすることになるディストピア・スリラー。

 タイトルから想像できるように、社会から個人としては抹殺され、名前のないただの頭数の一人として生きることになる恐怖。多分、寓話性を高めるために、あえてツッコミどころ(チューターが目立つ黄色いツナギを着ている、とか)を残してあるから恐怖感が薄れてしまっているけど、個々の「人数」エピソードは本当にありそう(というか、きっとあるよね)。

 後半、ヒロイン石橋静河が登場してからの展開が強引で、やや失速した感があるのが残念。前半のファムファタール立花恵理の存在感が亡くなったのももったいなかった。結末もよくあるパターンだったので、石橋静河と立花恵里をもっと絡ませるとか、一工夫欲しかったかな。