宮崎カズヤ

スパイの妻の宮崎カズヤのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
5.0
「散歩する侵略者」に続き、2回目の劇場での黒沢作品の鑑賞。
本当に“お見事です”の一言に尽きるのだけど、せっかくTwitterより沢山書けるので色々書いていこう(笑)
元々自分はスパイ映画が苦手で、その理由がストーリーを理解できないから。
スパイというとメタルギアソリッドや、007などアクション映画(メタルギアはゲームだけど…)で尚且つ往々にして、勢力図、人間関係、立場の違いからの本来の意思に反した動きとかとかとか。
とにかく理解が難しい…
でも今回の「スパイの妻」に関しては、それが全くない。
丁寧に丁寧に、それこそ当時の厳かかつ優雅な日本を感じられ、それがとても心地よかった。
しかし、この心地好さもジワリジワリと足下から崩れて、不穏になってくる。
この描写が脚本的にも、演技的にも丁寧で、聡子の気持ちも、優作の気持ちもわかる。分かりすぎる。
男女の愛し方の映画でもあり、国家、国際情勢を揺るがす映画でもあり、生活と逃亡の映画でもある。
それらの要素が複雑に絡み合いながらも、一筋の時系列を連ねて正に見事な一本の映画になってました。
宮崎カズヤ

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