ブタブタ

スパイの妻のブタブタのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
4.5
「お見事です」
鮮やかに騙されたというよりは彼処は矢張りああなるだろうなという結末だった。
高橋一生と蒼井優の殆ど二人だけの舞台劇の様。
一組のカップルの愛憎と嫉妬と信頼と裏切りが国家の趨勢、世界の運命を左右するという或る意味大好きなセカイ系。
優介と聡子の関係って愛し合う夫婦だと言う事は勿論、或る意味互いが互いを一番油断出来ない相手で、唯一無二の味方でパートナーであると同時にお互いを破滅に導く最大の敵でもある。
この愛と嫉妬と裏切りの、虚々実々の駆け引きと、二人で力を合わせて国家や戦争という巨大な敵に立ち向かう、『コードギアス』のルルーシュとスザクの様な二人。
ギアス能力なしなのに、互いにギアスを掛け合ってる様な、幻惑される様な二人の関係と緊張感と、それら全てが破滅(勝利)へと続くカタルシス。
聡子の負け、優介の勝利と見せかけて「世界の終わり」に一人狂い立ち尽くす聡子こそ真の勝者だったと思う。

映像がやっぱり黒沢清監督独特の絵画的美しさ。
あの独特の昏さがホラー映画みたいでいい。

それと『スパイの妻』が始まる前の予告編見てる時から思ったのが東出昌大なにシレーっと色んな映画出てるわけ(笑)
でも東出って頭も中身もカラッポの立ってるだけの張りぼてみたいな人間やらせるとこれ程役に合ってる役者っていないし、其れは本人がきっとそうだからなんだろう。
ブタブタ

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