となりの

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのとなりののレビュー・感想・評価

4.0
面白かった。

多彩で動きの多い画面は、それだけで「見ている」気にさせてくれる。
こう言ってよければ「スマブラ的」なのだが、それゆえにどの演技に注目すべきかが分かりにくいのは難点か。

やはりグウェンが格好よく好きなのだが、役どころとしてはホービーが一番美味しい。

単独者であるはずのものたちは社会を構成し、特異的であるはずの出来事はカノンの一部でしかない。
個別的であるはずの物語は、他のスパイダーマンによって先取りされて語られるものでしかなく、それをいかに取り戻すのかというのはよく分かる。

ただ、そうした自己参照的な形式は、サガ形式やパロディなどで繰り返されてきたものだろう。
それに、世界か個人かという二者択一や、家族愛にまつわる内面的な葛藤というテーマ自体がハリウッド的なクリシェでしかない。
つまるところ、マルチバースというSF的想像力を持ってくることで何が新しく語られているのか、自分にはよくわからなかった。
画面は派手になり、現代的な装いをまとっているが、それ以上ではないだろう(が、続編を見ないことにはなんとも言えないところはある)。

また、宇宙は複数あれども、流れている時間はひとつであるようなのも気になった。
そのあたり、SF的な考証ではコンセンサスが取れてるものなのだろうか。
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