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はりぼてのtakaoriのレビュー・感想・評価

はりぼて(2020年製作の映画)
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2023年346本目

「はりぼて」とはずいぶん品のいいタイトルだ。私なら「ごみため」とでも付けたい(公開できないって)。「はりぼて」とは富山市議会だけでなく、日本社会そのもののことである。いま話題の自民党安倍派の裏金も同じだが、単に「自民党は腐っててダメだ」というだけではなく、「権力は腐敗する」という前提で政治を見る必要がある。自民党が不正ばかりしているのは、日本で長く権力の座に居座り続けたゆえの必然であり、たとえば旧共産圏のように共産党が権力を握りつつければ同じことが必ず起こる。
民主国家で権力を監視するには、このドキュメンタリーを制作したチューリップテレビの記者のようなマスメディアの役割が大きい。しかし「公器」であると同時に営利企業であるマスコミは、常に微妙な立場にある。本作でも、詳細こそ語られないものの、記者たちの異動や退職という苦い結末から、メディア自体もまた腐敗と無縁ではないのだと推測される。
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