漫湖のほとり

光の漫湖のほとりのレビュー・感想・評価

(2019年製作の映画)
5.0
斉藤和義の曲に
『明日も今日の夢の続きを』
という曲があるのだけれど、それを思い出しました。


誰が誰に恋心を抱いて、それがたとえ友情の延長線上であっても
その度合いや視点が違うだけで、どうとでも見えてしまうプリズムのような世界。
人が人に対して思い抱くことは反射反射で結局は自分に還ってくるけれど、
還ってくる頃にはそのプリズムは虹色に輝いているわけであって、
それは結局過去の自分の通ってきた時間を美しく思っているだけ。
ただ、それはその人にとって限りなく美しいものだと思う。

主人公の岸島 司が感じた"不完全、不明瞭だけれど、なんだか心に刺さった出来事"というものが、
誰の視点という分けでもなくとにかく綺麗に、涙と共に表現されているところが、一番の本作の見所。
普段人通りの多いラストシーンの道も、あのシーンの時だけはぱったり人がいないところが良かった。


『ささやかな愛に気づかないまま
彼女が離れる夢をよくみる』
『愛が川を流れてくる
明日も今日の夢の続きを』
斉藤和義の【明日も今日の夢の続きを】という曲の一説。
いつまでなにに迷って、いつまでになにを気づいて、いつまでにそれに気づかずに、、
そんなこと、思い抱いてる自分が一番わかってないんですよ。結局。
ただただ、その日を生きてゆくことしかできない人が迎える明日や理想は、それこそ
『夢』そして『光』のようにおぼろげなのかもしれませんね。


明日も今日の夢の続きを。
『あ、そっか』と、乗り切ろう。

漫湖のほとりさんの鑑賞した映画