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嵐ケ丘/嵐が丘のhasseのレビュー・感想・評価

嵐ケ丘/嵐が丘(1939年製作の映画)
3.8
演出4
演技4
脚本4
撮影4
音楽4
技術4
好み4
インスピレーション2

○「世界を止めてみせて この形のまま永遠に」(キャシー)

名作を手堅く仕上げたワイラー監督の手腕、立っているだけで絵になるスタイル抜群のオリヴィエ(『コードギアス』に出ていても全く遜色ない)や表情の機微で見せるマール・オベロンの演技も素晴らしいが、やはりブロンテの原作が良すぎる。ヒースクリフを愛していながら、上流社会への憧れと虚栄心からエドガーと結婚してしまうキャシー。キャシーを愛していながら、エドガーを選んだ彼女への恨みと復讐心でイザベラと結婚するヒースクリフ。一度はペニストン岩で愛を誓いあうも負の感情と虚ろな欲望が邪魔をし、二人はすれ違っていく。運命は皮肉なもので、二人が愛を再確認するのはキャシーの最期の時である。

原作読んだのが中学生の時で記憶はだいぶ遠いが、キャシーがここまで二枚舌の女だったとは。ヒースクリフラブ!の次の日にはやっぱり上流社会で生きていきたいわ!という節操のなさ。階級的に彼女が最も中間的であり(上流階級でもなく被支配階級でもない)、ゆえに流動的であるがゆえの目移りなのだが、どうしてもヒースクリフの肩を持ちたくなる。

古典文芸ドラマは食わず嫌いだったが(原作小説読んだ方が面白くね、と思ってしまう)、まずまず楽しめた。
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