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アウトポストのjamのレビュー・感想・評価

アウトポスト(2020年製作の映画)
3.9
彼らは、その地を離れれば
誰かの息子であり、夫であり、父であった

志願した動機はそれぞれ違うけれど
故国を想う気持ちは同じ
最も過酷な状況となる戦地に赴き
ある者は命を落とし
またある者は戦友を救えなかったと悔やむ


アフガニスタン紛争
同時多発テロの脅威
見聞きはしていたものの
私にはどこか絵空事のようだった

この映画には
実際に"前哨基地"アウトポストで奇跡的な戦いに参加した当人も出演している

現地の人たちと協力してタリバンを排除する目的なれど  
実情はその地形からタリバンの"恰好の標的"
協力すべき村人、長老たちとの関係
問題は内部…指揮系統にもあり

テロップで名前が出ていたのに
なかなか判別のつかなかった"彼ら"
タバコを喫い
ギターを爪弾き、歌い
愛しい人の写真をネタに仲間と笑い


束の間の休憩に家族と繋がる
帰国したら、
いずれ除隊したら…と

そして

"その時"はやってくる

「村人が消えてタリバンが来る!」
「またかよ」「先週も同じこと言いに来ただろう」
…から一転、
迫撃砲しか届かない稜線から
彼らの何倍もの数のタリバンが襲い
息つく間もない激しい戦闘が繰り広げられる
皮肉にも観続けるうちに一人一人を
判別出来る様になっていった…

「ニューヨーク 親切なロシア料理店」で
優しいけれど不器用なジェフを演じていた
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
今作でもなんだか少し頼りない、半ズボンの兵士カーター

多くの兵士たちの中、少しずつ彼の人となりが伝わり、気づけば…

スコット・イーストウッド演ずる漢臭いロー軍曹と共に名誉勲章を受章

エンドロール
実際の兵士たちの真実の言葉に、表情に
この物語が現実のものであったことを再認識させられる


"天国の門と地獄の門は同じ場所にある"
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