Monsieurおむすび

私が結婚した男のMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

私が結婚した男(1940年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

1938年、第二次世界大戦開戦前のニューヨーク。
ドイツ出身のエリックとアメリカ人のキャロルの夫婦は義父の住むドイツへと旅立つ。
ベルリンに辿り着きエリックが感じる祖国への違和感。ナショナリズムへの盲信的、狂信的な心酔はドイツ国民を洗脳し、オーストリアはじめ、諸外国への排他的思想へと変貌を遂げる。
そして、エリックに流れるドイツ人としての血も、自身が優れた民族であるという心地良さに沸き立っていく。。。
ナショナリズムや全体主義が国だけでなく、家族や個人の絆や尊厳までも破壊していく様が克明に記される。
その淡々とした語り口が逆に不気味である。

まだ、戦時中、それもナチス全盛とも言える1940年公開にも関わらず、当時そうであったであろう社会構造がよく捉えられており、アメリカ人のキャロルや、古く良心的なエリックの義父にとってみればサスペンスフル極まりなく、その異質な空気を対し異議を唱えようものならどうなってしまうか?と考えるだけでも恐ろしい。

何より現代にも通ずる日常を覆う不穏さが、こうやって人々を取り返しのつかない争いへと駆り立てていくのだなと痛感させる。
Monsieurおむすび

Monsieurおむすび