Tsu

眼には眼をのTsuのレビュー・感想・評価

眼には眼を(1957年製作の映画)
4.5
舞台はフランス統治時代のシリア。
フランス人が働く街の綺麗な病院から、少し車を走らせるとアラビア人の伝統的な集落。
集落の陽気で小さなアラビア人達と、バッチリ水色スーツ姿の大柄で厳格なTHEエリート医者のギャップたるや。

描かれるのは砂漠を舞台にした、医者への逆恨みによる復讐劇。
妻が腹痛を訴えていると家に尋ねてきたアラビア人を、20分車で走れば病院だからと追い返したエリート医が、結局妻を亡くしてしまった夫に恨まれてしまう。

医者は追い返したことを後悔しアラビア人集落まで診察に来たところで車のタイヤを盗られ帰れなくなる、というのがただ虚しい。

それでもなぜか観てしまうのはシリアという土地あってこそ。
見渡す限りの乾燥地帯。山と山をつなぐボロボロのロープウェイ。さあこっちですよ、とにこやかな男。本当に信じていいのか?でも信じるしか帰る道はない…

なんだか自分まで恐ろしい旅をしている気分になれた。怖いもの見たさでまた観たい。
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