EDDIE

もう終わりにしよう。のEDDIEのレビュー・感想・評価

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
4.0
豪雪の最中、恋人を両親に紹介したく帰省する男。恋人の女性目線で進行する物語は実家の不穏な雰囲気と現実・非現実の境目が曖昧になるミステリアススリラー。物語の仕掛けが判明したときの爽快感はたまらない!映画好きにこそオススメの作品。

いやはや凄い映画でした…。基本的には2人の男女の会話中心で話が進み、しかも沢山の不可解な演出がインサートされることで、今自分は何を見せられてるんだという感覚を味わいながら観ることになります。
とにかく本作は集中できる環境で観ることをオススメします。私は今回新幹線の移動中に鑑賞したことで、完全に作品に集中することができました(多分自宅で鑑賞してると集中力が続かず話がちんぷんかんぷんになること必至でした)。

ただですね、映画の構造と意味がわかった瞬間これほど気持ちのいい作品もなかなかありません。多分ただ単純に作品を眺めているだけじゃ置いてけぼりにされます。
作中に出てくる細かな演出やアイテム、登場人物の特徴や仕草、一つ一つを読み解いていくとラストに異常なぐらいの高揚感を味わえます。

キャストは『ゲームナイト』でも特異なキャラクターとして印象的だったジェシー・プレモンスがジェイクを演じます。恋人役には『ワイルド・ローズ』で歌手になる夢を追うシングルマザーの役目で印象を残したジェシー・バックリー。『ジュディ 虹の彼方に』の出演も記憶に新しいです。
この2人がとにかくずーっと喋り続けています。基本的には“彼女”の視点で進行していくのですが、会話してない時も“彼女”の独り言や頭の中の妄想、詩の朗読とシーンとしてる時間の方が少ないぐらいです。134分の上映時間なので、もう情報量が多すぎるんですよね。とはいえ会話の一つ一つのセリフが後に繋がってくるので、考察好きの映画ファンには好まれるのではないでしょうか。

ジェイクの両親役で、母親をトニ・コレット、父親をデビッド・シューリスらが演じることで、作品の不穏さがより際立ちましたね。

一方で作中にジェイクがミュージカル好きだという描写があるのですが、その中で紹介される一つ『オクラホマ!』という舞台(映画化もされているようです)のオマージュシーンが多数インサートされており、同作を知らない方には不親切な作りにもなっています。
残念ながら私も『オクラホマ!』は観たことがなく、とあるシーンはちょっと唐突すぎて意味不明でした。それがわかればもっとスコアは上がっていたかもしれません。

考察については私も信頼するブロガーさんのナガさんがわかりやすく解説してくださっているので、こちらもご参考にされてください。

https://www.club-typhoon.com/archives/2020/09/05/ending-things-film.html

とにかくメタファー的要素満載な作品なので、観る人は選ぶかもしれません。ただ好きな人にとっては結構たまらないぐらい面白い作品だと自信を持ってオススメできます。物語の後半でゴミ箱が映し出されるシーンがあり、あそこで色々と繋がりました。いやぁ、『オクラホマ!』をチェックして、改めて観てみたいなとも思わせられる作品でした!

※2020年自宅鑑賞260本目
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