ShinMakita

アジアの天使のShinMakitaのレビュー・感想・評価

アジアの天使(2021年製作の映画)
1.7
剛は売れない小説家で、妻を癌で亡くしたばかり。韓国で暮らす兄貴から一緒にビジネスしようと持ちかけられた彼は、8歳の息子・学を抱えソウルに渡る。怪しげな韓国人と組んでコスメの輸出をしている兄貴を頼り、同居を始めた剛と学だったが…

同じソウルの町で暮らすソルは、売れない歌手。デパートのイベントで唄っていても、見向きもされていない。しかも事務所との契約も切れてしまった。事務所社長に弄れる彼女は、国試を控える妹ポム、貧しい稼ぎの兄を支えるためなんとか歌手の道を続けたいと訴えるのだが…


「アジアの天使」

以下、この国で大事な言葉は、ネタバレ・チュセヨとサランヘヨの2つだ。

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茜色で俺的評価爆上がりの石井裕也監督最新作。韓国に渡った少し独善的な小説家が池松壮亮、そのナンパな兄貴をオダギリジョーが演じます。2人のバディ感、じゃれあいが楽しく、喧嘩してもビールがあればすぐ仲直りする感じが微笑ましかったな。もう1人の主人公、チェ・ソルは、日本語もできる美人女優チェ・ヒソです。

兄弟間、家族間、他人間、そして言葉の通じない外国人間…いくつもの二者間に起きる軋轢とコミュニケーションを描いたドラマ。すぐ暴力振るったり声を荒げたり女性を蔑んだりと、「韓国人の嫌なとこ」が目白押し。じゃ日本人は完璧かというとそうじゃなくて、池松壮亮もオダギリジョーも、だいぶ常識からズレている。池松壮亮はのっけから「ソーゴリカイ」の重要性を息子に語っているけど、その割には相手の言語=韓国語を学ぼうとしない。ちょっとした旅行でも日常会話くらいは覚えないか?まして移住するなら語学の勉強するのは当然だろ。オダギリジョーも、ラブさえあればオールオッケーという軽いノリで、韓国人に騙されても楽天的。この2人が、実は「日本人のダメなとこ」を体現してるんだよね。

2組の家族の人生が交差し、互いに希望を見出したのは天使のイタズラなのか、ね。これからどうなるか判らないけど、とりあえず皆んなでメシ食うべ、という作品でした。石井監督は、明快な答えを出さずに投げっぱなしなことが多いので、好き嫌いが分かれる映画かな。
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