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シュシュシュの娘のShinMakitaのレビュー・感想・評価

シュシュシュの娘(2021年製作の映画)
1.4
埼玉県・福谷市…
市役所に勤める20代の女性・鴉丸未宇は、病身の祖父と2人暮らしの地味で目立たない子だが、ある理由から職場からも近所からも白い目で見られる存在である。というのは、かつて新聞記者だった祖父が、新市長が掲げる条例に敢然と反対を表明していたからだ。その条例とは、ズバリ「移民排斥条例」。町は市長の支持層が厚く、自警団も組織されて工場で働く外国人たちもリンチの標的になっているのだ。ある日、未宇に優しかった先輩職員・間野が市庁舎から飛び降りた。未宇の祖父を慕い条例反対派だった彼が市長に取り込まれ、悩んだ末の自殺だ。悲しむ未宇に、祖父が突然言い放つ。「おまえにミッションを課す。間野が遺した、市長の不正の証拠を見つけ出せ…」


「シュシュシュの娘」

以下、シュシュシュのネタバレ。

…と書きたいんだが、公式HPでシュシュシュ設定のネタバレを禁じているので、それに従い今回はネタバレ無しで。


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入江悠が、故意に「やっつけ感」「学生特有の背伸び感」を演出してみせたインディーズ作品。元来入江監督って、理屈屋だと思うんですよ。物語の背景、犯罪の動機、事件解決までのロジックとか、結構クドく描いてましたよね。今回は完全にその性質を封印して、いきなり「移民排斥」とダイレクト。いつもの入江さんなら、人権団体から文句が来ないような巧い市民洗脳条例を考えつくと思うんだけど、そういう頭デッカチな部分は一切なし。未宇のシュシュシュ設定も唐突で、それを未宇が、葛藤もなくすんなり受け入れてしまうのもテキトーに見えます。でもこれは故意でしょう。学生たちの自主映画や海外の低予算映画にありがちな、「志は高いけど、お金とスキルがついていきません」という質感を見事に再現しているんですよね。ミニシアター救済目的で最初からインディーズでやると決まっていた企画ですから、ちゃんとインディーズっぽい作りにしているんですよ。さすが入江さん。なかなか嫌いになれない監督です。

未宇役の福田沙紀、あまり注目してこなかった女優ですが、なかなか良かったです。観てるこっちがイラついてくる女性を見事に体現。もう少しアクションにキレがあったらなぁとは思うけど。
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