シュシュシュの娘の作品情報・感想・評価

『シュシュシュの娘』に投稿された感想・評価

地方都市の閉塞感や現代社会の抱える病理をテーマにしつつも、痛快な感じに仕上がっているB級社会派活劇。
とりあえず、福田沙紀が可愛いという情報だけもって見てほしい。アップはあんまりないけどなんか可愛い。
井浦新や宇野翔平も言われなきゃ気づかないくらいアップがないけど。でもアップがなくても面白い。

ちくわにはそんな意味が…!?
外国人排斥運動、公文書改竄、公務員の自殺。こうしたあきらかなモデルをもつ政治的問題が、ここでは埼玉県のうらびれた自治体を舞台にし、矮小化されたスケールで再現されてゆく。このスケールダウンはプロダクションそのものの身の丈にあわせるための、きわめて適切な選択であった。アクションの欠落した、だらっとした忍者活劇。いい。
デニロ

デニロの感想・評価

4.5
シュシュの娘、中国映画にそんなタイトルの作品があったなと思いながら、シュシュさんの娘の話かと。ネットで予約した返信メールに『シュシュシュの娘』とあった。シュ、がひとつ多い。え、何の話なの?

その謎は始まってから10数分後に分かるのだが。

いつの頃からか息の詰まるような世界に生きるようになってしまったとわたしは感じるのだが、入江悠脚本、監督は自らの作品『ビジランテ』で埋めた缶を掘り起こしてそんな世界を再構築する。外国人労働者、公文書改竄、同調圧力、自殺、いじめetc.

いまや働きたくない日本人が多くなり、深夜労働、単純作業に労働力が集まらないと聞く。そんな実情に合わせるかのように技能実習生制度やら特定技能制度やらを作り上げて外国人労働者として受け入れ、また、実態の希薄な留学生をもそこに当て嵌める。ところが、日本という国は明治の開国以降欧米の白色人種以外には実に不寛容で、米国トランプ前大統領の政策そのものが日本国民全体の合意になっているかのようになっているので整合性がつかないのだ。だから制度の法律を作るにしても役人が実に苦労していることがわかる。何が何だかさっぱりわからない制度で、問題が生じれば都度都度対処しなければならない。

数年前旅行で知り合った20代の男子が旅中のよもやま話で出入国在留管理局を退職するんだと言う。周りの旅行者が勿体ない云々と言っていたけれど、なんだかイヤなんですよ、塾講師になります。名古屋の出入国在留管理局で起こったスリランカの留学生死亡は、経済的裏付けのない留学生を受け入れてしまう制度に問題あるのは勿論だが、入管が人間扱いをしないという実態があまりにもおぞましい。のり弁のようにくきれいに黒く塗りつぶされた公文書にそれが端的に表れている。ああ、彼はそれを感じていたんだと今は思う。

というようなことが背骨にあるのだが本作は脱力系の可笑しさに満ち溢れている。世の中はデジタルで境界がくっきりとしているが、本作は境界をそれほどくっきり描いているわけでもない。普通の公務員が、普通の商人が成果に向けて仕事をし、ご近所に愛想を振りまきつつ暴力的な破壊侵害を行う。悪はきちんと見えてこないのだ。井浦新や宇野祥平が異界に向かう夜の闇のシーンのように境界はいつも曖昧なのかもしれない。

入江悠が引用した詩が本作の含意なのだと思う。

もし 君の呼び声に誰も答えなくても ひとりで進め
もし 誰もが口を閉ざすなら
もし 誰もが顔をそむけ 恐れるなら
それでも君はこころ開いて こころからの言葉を ひとり語れ
タゴール「ひとりで進め」より
【入江悠監督舞台挨拶付き上映】

意表を突く女忍者映画。
悪徳代官(市長)、性悪役人(市役所員)、取り巻きゴロツキをやっつけろ!
資料改ざんという現代性も取り入れつつ、展開はあくまでベタな勧善懲悪。
起承転結の見事さに思わず唸る、上質のエンターテインメント。
自主映画でしっかり作り込む、入江悠監督の心意気に拍手喝采。
レビューが半年遅れで、ごめんなさい。

[入江悠監督のコメント、(  )内は僕の感想]
・福田沙紀の下手うまダンスをオーディションで見て、俳優としてのセンスを感じた。
 劇中のダンスの振り付けは、すべて彼女が考えた。
 (確かにキレッキレで笑っちゃう)

・ストーリーが荒唐無稽な分、ディテールは根拠があるように心掛けた。
 コスパの良い吹き矢を使うとか。
 (吹き矢の上達具合が見事に描かれる)

・食事風景を上手く撮れるのが優秀な監督だと思う。
 (ちくわを食べたくなる)

・80年代の軽い曲で、時代劇からズラしつつ、最後はモリコーネ的マカロニウエスタンで締めくくる。
 (主人公が街を去っていく、哀愁感よ...)
ヨン様

ヨン様の感想・評価

1.9
監督が「ソト」から撮りたい題材を持ってきているのはわかるが、まっっっっっったくうまく撮れていない映画
自警団。外国人排除と差別。閉鎖的な「ムラ」。公文書改ざん。現代日本の抱える問題を扱いながらも、音楽と情景の意図的でナンセンスな組み合わせや、登場人物の動きといった演出により、シリアスさを軽減しつつ、見やすい者になっている。忍者やラストの悪者を殺すシーンに現実味がないといった野茂もあるが、B級的な要素と解釈。
てぃと

てぃとの感想・評価

4.1
9:35

市役所における文書改竄事件からの自殺。
そして未宇に託された指名とは…
なるほど〜タイトルはそういう意味ね。
閉塞感ある地方の空間、今の世の中への不満、面白かったな!
あと 竹輪は美味しいとおもう!

このレビューはネタバレを含みます

昨日、映画館で初めてこの映画の予告を観た。「息をひそめて生きている」って言葉が残って。(●´ϖ`●)

気持ちを少し上向きにしてくれるなぁ。とても良い軽さ!この軽さは薄いんじゃなくて、濃いのに軽いのだ( ¤̴̶̷̤́ ‧̫̮ ¤̴̶̷̤̀ )敵はでかいぞ!そこにどう立ち向かうのか。猫背で目線を合わせない主人公は、どこか自分と重なった。馬鹿な…無理だと思ってた事が、本気になると凄いぞ!

映画館出てから、ふふっと何度も思い出し笑いしちゃう。観客の想像力に委ねる撮り方も良いなぁ!私の頭の中ですごく飛んでたもの。現実の問題とこの設定(笑)ユーモアやシュールに包んだ真っ直ぐな怒りを感じた。そうだ、怒って良いんだ。

あと、ちくわを買って、次の日のお弁当に入れた。ちくわ煮を。(●´ϖ`●)
紺野薫

紺野薫の感想・評価

3.5
コロナ禍で苦境に立たされたミニシアター界。
そんな中、
「まだ、ひとつだけ、できることがある」
「だったら、自主映画をやればいい。完成させて全国のミニシアターを回ろう」
と立ち上がった入江監督が作ったこの映画。

その経緯、あまりに尊い。映画オタクとしては泣いてしまうし、観客動員数に貢献して「こういう映画が客を呼べる!!」ということを証明する一員になりたかった。

その尊さにクラクラしてしまい、もう あらすじも何も知らずに見に行った。

なるほど、忍者→吹き矢→シュシュシュかーーー、と納得しつつ見ていくのだが·····

途中まで驚くほど展開が、暗い。

現実世界の鬱鬱とした感じを、ぐつぐつと煮詰めた濃縮還元150%果汁を飲まされ続けた気分だった。

映画を通じて、現実世界をただただ見ていたような時間だった。
まぁ、映画だからって軽快なわけでもないよな。
しかし、「コロナ禍で困ってるミニシアターを救う」·····って理念の映画がコレ??と正直かなり戸惑った。それくらい暗い。

でもラスト、未宇が軽快に「シュシュシュ」とやってくれる。鬱鬱を吹っ飛ばしてくれた。それまでの鬱鬱さとのギャップが大きくて、一気に脳細胞が興奮した。
分かりやすい勧善懲悪だけど、昔見た時代劇とかとはレベルが違う。時代劇は昔だが、この映画は今だ。

別にシュシュシュとしたところで私の現実世界は何も変わらない。ニュースは暗いし、息がしづらい日常が待っている。

でも、私は「あの未宇」を見れてよかった。
この映画は、「あの未宇」を見るための映画だと思う。


追記

入江監督、東京都政になにか恨みでもあるのか·····?
市長の名前と、自警団のブルゾンの色にご注目ください。
暴力的解決はピクッとするけど、ギャグと割り切ってしまえば痛快。主人公の未宇を演じていたのが、福田沙紀さんとは気づかずエンドロールでビックリ。あの影のある感じに化けられるのもさすが役者ですね。あと曲も最高。
>|

あなたにおすすめの記事