青いビニール袋

シュシュシュの娘の青いビニール袋のレビュー・感想・評価

シュシュシュの娘(2021年製作の映画)
4.0
95本目

市役所で働く未宇は、ある日自分に優しくしてくれていた、
亡き父親の同僚である間野が、公文書改竄を負わされた末に、自殺してしまう。
そして祖父からある事実を伝えられ、その証拠を奪うように命じられる。

個人的にはビジランテ以来の入江悠監督作品で、
コロナ禍に苦しむミニシアターを救うために作られた自主制作映画。
公開する劇場もミニシアターしかないのも大きい。
ちなみに舞台が埼玉の深谷(名前は違う)なので、
私が見た深谷シネマが、この映画にバッチリ写っていた。

フィックスカメラによる長回しが多い本作だけど、
とあるシーンからは、複数のカットを多く挟み、
まるで時代劇かのように演出していてメリハリがついていた。
この物語自体が勧善懲悪ものだけどね。
個人的にすごいなと思ったのは、
祖父が闇へと消えていくシーンで、
この映画におけるその描写は、冒頭の間野と同じような演出で使われるけど、
親父の場合、その奥の街の照明が暗闇の中に浮かび上がっていて、
それが怒りの顔のようにも見えた。

コロナ禍に作られた映画だけあって、
さまざまな入江監督の思いを感じる映画で、
外国人排除条例を制定して、はっきり「日本人ファースト」と言い切るところを、
関東大震災における、朝鮮人虐殺の歴史にまで絡めて書いている。
都知事が追悼文を今年も出さなかったという点を踏まえると、
まさにタイムリーな話だった。

福田沙紀のダサ可愛さはもちろんだけど、
エンドロール見るまであの祖父が宇野祥平だと気がつかなかった。
すごいメイクしていたとはいえ、さすがカメレオン俳優・・・

ミニシアター応援の意味も込めて