95本目
市役所で働く未宇は、ある日自分に優しくしてくれていた、
亡き父親の同僚である間野が、公文書改竄を負わされた末に、自殺してしまう。
そして祖父からある事実を伝えられ、その証拠を奪うように命じられる。
個人的にはビジランテ以来の入江悠監督作品で、
コロナ禍に苦しむミニシアターを救うために作られた自主制作映画。
公開する劇場もミニシアターしかないのも大きい。
ちなみに舞台が埼玉の深谷(名前は違う)なので、
私が見た深谷シネマが、この映画にバッチリ写っていた。
フィックスカメラによる長回しが多い本作だけど、
とあるシーンからは、複数のカットを多く挟み、
まるで時代劇かのように演出していてメリハリがついていた。
この物語自体が勧善懲悪ものだけどね。
個人的にすごいなと思ったのは、
祖父が闇へと消えていくシーンで、
この映画におけるその描写は、冒頭の間野と同じような演出で使われるけど、
親父の場合、その奥の街の照明が暗闇の中に浮かび上がっていて、
それが怒りの顔のようにも見えた。
コロナ禍に作られた映画だけあって、
さまざまな入江監督の思いを感じる映画で、
外国人排除条例を制定して、はっきり「日本人ファースト」と言い切るところを、
関東大震災における、朝鮮人虐殺の歴史にまで絡めて書いている。
都知事が追悼文を今年も出さなかったという点を踏まえると、
まさにタイムリーな話だった。
福田沙紀のダサ可愛さはもちろんだけど、
エンドロール見るまであの祖父が宇野祥平だと気がつかなかった。
すごいメイクしていたとはいえ、さすがカメレオン俳優・・・
ミニシアター応援の意味も込めて