beniko

ショック・ドゥ・フューチャーのbenikoのレビュー・感想・評価

4.3
1時間18分という短尺だけど、機材とアルマ・ホドロフスキーの冒頭シーンだけで私は満足して帰れる。

そんな映像が1時間18分もあるので物足りなさは一切感じませんでした。

女ミュージシャンがのし上がって大ブレイクするような明快なサクセスストーリーではないし、ストーリー重視で観ると物足りなさを感じてしまう人もいるのかも。

これは70年代に生きる女ミュージシャンが新しい機材、音楽に触れて自分の音を見つけ、未来への可能性を見つける映画。すっっごく簡単に言えば、くすぶってたけど良い感じの曲が一曲できただけの映画。笑

でも観ている側も70年代に降り立った視点で観ると、音楽業界、ジェンダーの未来を確かに感じることができました。

何より、電子音楽やシンセに一度でも魅力を感じたことのある人ならこんなに贅沢な時間はない。

スクリーンいっぱいに映し出されるモジュラーシンセ!劇場に鳴り響くシンセの音!

劇場で観られて良かったけど、もう一回家でも観て、今度は踊りながら観たいな笑

主役のアルマ・ホドロフスキーは今までアデルブルー等の出演作ではあまり印象に残っていなかったのですが、本作では普段音楽もやっているだけあってすっごく役にハマっていて良かったです!もう、ただの孫とは言わせませんよ。

そしてボーカルの子は演技初挑戦のプロのミュージシャンでLa Femmeのアルバムにも参加してたようなのでもう一回ちゃんと聴き直してみたくなりました。ちなみに監督のバンド、Nouvelle VagueもよくBGMにしてる🔥

見終わってから気付いたけど、ほぼワンシチュエーションなのに驚いた。他に出てくるのは近所とスタジオの2ヶ所くらい。

撮影した部屋もシンセのコレクターの部屋をそのまま借りたそうで、シネスコという広いスクリーンサイズのおかげか、低予算を全く感じさせない画面作りが見事だと思いました👏

最後にもう一つ私が触れたいのが、テルミン。

使うわけでもないのに、画に入るように置いてあったり、私も尊敬するテルミン奏者クララ・ロックモアの名前がエンドロールに入っていたり、非常に分かりやすいリスペクトが個人的にとても嬉しかった。

クララ・ロックモア様と、もちろんテルミンを作ったレフ・テルミン博士に、改めて私も尊敬と感謝の意を感じることができました☺️
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