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そこにいた男のはのレビュー・感想・評価

そこにいた男(2020年製作の映画)
4.0
クズ男にハマった女が男を刺し殺すまで。
新宿ホスト殺害未遂事件がモチーフだそうで。

女性はクズな男が好き。
非モテ男性からの視点だと、そういうところで思考停止しがちなんだけど、そういうことではないんですよね。
好きになる心理にはちゃんと理由があって、厳粛なメカニズムに沿って作用している。
一旦その形に捉えられると、もう意思の力で自分をコントロールするのは不可能。
だからキャパを超えると、極端な行動として現れてしまう。

こういうことって、心の問題に置き換えると、自分はそんなことない、とか考えがちなんだけど、体の事で考えるとどれだけ脱出が困難かはすぐ理解できるんですよね。

例えると、どんな力持ちでも、完璧に決まった関節技からは逃れられない。
ゲームで例えるとハメ技。
ハメ技に捉えられると、もう技術なんて関係ない。
んで、日常で人間そういう「技」にかけられるなんて事はほとんどないので、そういったことをしてくる対象には、ほぼなす術がなくハマってしまうという。

技を使う側からしても、体験としてどうすれば相手をコントロールできるかの経験はあっても、どこに限界があるかは把握し切れておらず、やりすぎてしまって事故になることもしばしば。
この「技」の身につけ方って、太宰治の小説読んでると結構書かれてたりした記憶。

最近割と心理学とか勉強してみたんだけど、だいたいどういう作用でこうなるのかという事が明確というか、学んだ通りのことが見えて興味深いというか。

ぶっちゃけこう言うのって、義務教育に「恋愛」の項目があれば余裕で世の中から消えて無くなる出来事だと思う。
多分それだけでホストとかに(身を滅ぼすほど)ハマる女性とかもほとんどいなくなる。
心理学者達はそこまでしっかり調べて研究結果出してるのに、社会がそれを扱えるようになるのはまだ先なんだろうか。
逆にその辺学んでるホスト業界はしっかり恩恵受けてるのにな。


最後のセリフが好き。
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