ぴぃ

私をくいとめてのぴぃのレビュー・感想・評価

私をくいとめて(2020年製作の映画)
3.0
アラサー、おひとりさま。休みに遊ぶ友人もいないし、自分の心の声を支えに家でも外でも大きな独り言がとまらない。世間的には"イタい"?

でも、取引先の年下君といい感じになってて、手料理を一緒に食べる仲だし、イタリアに移住した親友からは定期的にギフトが贈られてくる。1人で焼肉だって日帰り温泉だって行って楽しむし、自分の為に派手なランジェリーを纏うのだって悪くない。おまけに職場には、ふらっと出掛けるくらいには仲の良い優しい先輩がいて、ヘッドハンティングされてきた、バリキャリ女上司がいるときた。

え、しあわせ。そう思ったのは私だけじゃないはず。ただ、はたからは幸せにみえても、当人にしか分からない焦りや不安や孤独があるものね。幸せの基準を勝手に決めるなよ、そう思ってるくせに、結局私も主人公の人生を測ってる。

妊娠した友人と久々に再会した時、別人のように感じる言葉にできない違和感。反芻しては脳細胞から吐き出したくなるセクハラの記憶。酔っ払いに絡まれている女の子に出くわすと、脳内では啖呵切って助けてるのに、現実は何も出来ずに終わって自己嫌悪に襲われる夜。そんなもの、分かるようになりたくなかった。

原作の作者、綿谷りささんといえば「蹴りたい背中」を読んだ当時、さっぱり分からなかった。小学校高学年のワタシは分からなかったことも今のワタシは分かるのかな。もしかして、あの作品を分かる時期はとうに過ぎてしまったのかも。それならそれで良しとしよう。
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