みずいろ

僕と頭の中の落書きたちのみずいろのレビュー・感想・評価

僕と頭の中の落書きたち(2020年製作の映画)
3.7
とても良かった。統合失調症の目線で描かれていて、どれだけ妄想が人を追い詰めるものなのかがよくわかり胸が痛かった。

息子がいるので母親の気持ちになって観てしまい、涙が溢れた。アダムは母にとって自分は失敗作だと悩むが、赤ちゃんがうまれた後に母親はアダムに「ほっぺが丸いところがあなたにそっくり」と笑いかける。愛に差などあるわけがない。母が子を思う気持ちをなめてもらったら困る。笑

すべて良かったけど、とくに、ポールの手紙は泣けた…。妄想は事実をねじまげる。それは他人を傷つけるけど、でも一番傷つくのは妄想してしまう本人その人だ。心から謝るアダムに、俺はどこにもいかない、とポールが言葉少なに伝えるのも本当に良かった。

罪の告解をするのは弱い自分を受け入れるため。愛する人を遠ざけることが1番の失敗。すごく心に残るメッセージだった。

誰かを、何かを愛することは何よりもパワーになる。自分の弱さを受け入れるためのエンジンになる。アダムにいいことがあったとき、頭の中の妄想たちも一緒に喜ぶのがすごく良かった。弱い自分も、自分だ。
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