建野友保

海辺の彼女たちの建野友保のレビュー・感想・評価

海辺の彼女たち(2020年製作の映画)
4.0
中国に代わって技能実習生の最大の供給国となっているらしい、ベトナムから来日した3人の技能実習生の物語。技能実習生の全てが悲惨な目に遭っているとは必ずしも思いませんが、この映画で描かれたような事例は少なからずあるのでしょうし、報道などでもたびたび伝えられています。
技能を与えられる側と、与える側、両方の構図が固まっているのはやむを得ないとしても、そこに「隷属的な関係」が生じてしまうのが最大の問題。そして、そもそも技能の提供などされてもおらず、安価な労働力として消費されているだけという悲しい現実。
もともとは「発展途上国の人材育成を通じた国際貢献」という立派なお題目、理念があったはずなのに、理念とはかけ離れた現実が自生しているのに誰も止められない、ここが一番の悲しいところでしょうか。
そんなあれこれを頭の中でグルグルさせてくれた当作品には感謝。そして偶然にも挨拶に登壇してくれた監督の、ラストシーンに込めた思いを聞いて、深く感じ入りました。
日本には、見て見ぬふりができない過酷がありすぎます。
建野友保

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