ノマドランドのShinyaMorisakiのネタバレレビュー・内容・結末

「ノマド」という生き方。それは資本主義経済へのささやかな反抗なのかもしれないし、それを受け入れた上での自己実現の方法なのかもしれない。ただ一つ思ったのは、時代から自由になることは不可能で、好むと好まざるとに関わらず、我々は資本主義経済(劇中のアメリカだと極度なまでの新自由主義)の上にいる。それから自由になった生き方というのは誰にも想像さえできない。この映画の主人公も「ノマド」をベストだと思って選択しているわけではないように感じられた。可能であれば夫と暮らしたエンパイアにずっといたかったのではないかと。しかし、ラストシーンでそれまで取っておいた夫との思い出の品を全て処分して、彼女はまた旅に出た。それが表す意味を映画が終わった後も考えている。