Ryoma

ノマドランドのRyomaのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.0
同じくアカデミー賞候補の「ミナリ」よりかはこっちの方が個人的な好みではあった。しかし、どちらも秀作止まりといったところで、例えば「パラサイト」のように大傑作!とは謳えないかな。
「ノマドランド」はさらりとした映画で、その「さらり」は嫌味にならないし、詩的な表情もあるので、好ポイントなのだが、まあこれはミナリにも言えるのだけれど、本当に素晴らしい「さらりとした映画」は実は、さらりした表面の内側、より内奥の方に、どろりとしたイメージが煮立っているもので、その「どろり」が「さらり」を引き立たせていると思うのだけれど、「ノマドランド」も「ミナリ」も、内奥の方を覗いてみても、あるいは覗こうと目探りしてみても、一向に「どろり」が感じられないのである。これは骨のない肉のようで、ようはふにゃんふにゃんである。まあ、かと言って悪いってわけじゃないのだが。
あと超開放的なアメリカ荒野を舞台にしていて、それを引き立たせるために、陽が昇り始める清冽で美しい時間を多用しているのだが、確かにそれは成功していて、美しい。美しいけど、あともう一歩感。つまり、こんな素晴らしい土地を舞台にしているのだから、もっともっと詩的な映像に振り切ってみても、良かったのではないか?と思っちゃうのだ。そうしたらもっともっと素晴らしい作品だっただろう、とね。
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