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ノマドランドのpikaのネタバレレビュー・内容・結末

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

究極の断捨離かな、と
思いながら鑑賞。

一緒に住もう、
力になるよ、と
言ってくれる家族や友人はいるのに、
何故主人公のファーンは頑なにノマド(遊牧民)を続けるのか?

最後の最後に、私なりに答えが見つかった瞬間、涙が流れた。

高齢者が多いというノマド。

人間長く生きると悲しい別れを
経験し、忘れたくない思い出もたくさんある。

ノマドランドの旅は、
自分の中の喪失を受け入れ
愛していく旅なのだと。

新しく安定した生活を他所で
始めることで、
今まで大事にしてきた思い出を
上書きしたくないのだと。

彼女は忘れたくない大切な思い出を全て車に詰め込み、その中で生きているのだ。
決して人付き合いを避けたいからではない。
同じノマド仲間と一期一会の出会いも
大切にしている。

ノマドの仲間と別れる時は、
「さよなら」ではなく、
「See you down the road! また会おう!」
と言って別れる。
これまで辛い別れを経験した者にとって、
希望を持てる挨拶。
この言葉が語られるシーンは
グッと胸に迫ってきた。

ファーンが決して住みやすいとは
思えないあの土地に固執しているのは、
住んでいた街は閉鎖されてしまったが、
最愛の夫と共に愛したあの砂漠の景色が
変わらずそこにあるから。

ラストにとても静かで深い愛を感じた。

色んな理由でノマドの生活をしていると思うが、そういうライフスタイルが受け入れられているアメリカはやはり懐が広い国だな、と。
アメリカの雄大な自然がそんな多様性を
生み出しているのだろうな。

景色も音楽も素晴らしかった。
サーチライト作品はやはり良いな。

自分の語彙力では伝えきれない、
うまく言葉に出来てない。
そしてずっと余韻が残る。
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