パール

ノマドランドのパールのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.0
企業倒産により家を奪われ、ハウスレスとして踏み出したファーンがノマドとして誇りを持って生きて行くようになる様が秀逸だった。

愛する夫と過ごしたエンパイアを離れたくなかったファーン。現実は厳しくその地で仕事を見つけるのは不可能。季節労働の現場を渡り歩くしかなかった。

過酷な生活の中で自然に癒され、ノマド達との近すぎない程よい距離感の交流が続く。人付き合いが苦手ではない彼女はどこに行っても上手く付き合える。

妹や彼女に好意を持つ人が手を差し述べるけれど彼女はその手を取らない。

ノマドには高齢の人が多く喪失感を抱えている人が多い。

拭いきれない孤独。喪失感からずっと抜け出せないファーン。

『家は心の中にあり思い出は生き続ける。』『さよならではなく、またね』息子を亡くした彼の告白を聞いて彼女は少しずつ解放されて行く。

一緒に住んでいた時と変わらない裏庭の景色を見た時のファーンの表情。預けていた荷物を処分した時の彼女の清々しさ。ラストが心に沁みた。

ノマドの生活で、きっと彼女は愛する夫にまた会える。
パール

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