こう

ノマドランドのこうのネタバレレビュー・内容・結末

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【個人記録用】
ノマドの人々の暮らしをありのまま描いた、ほぼドキュメンタリーのような作品。冒頭にファーンを取り巻く状況は分かるが、なぜノマドの生活を続けているかは終盤にかけて明かされていく。ノマドとして生活している人々の視点ならではの深い言葉の数々にじんわりさせられる。結婚指輪を見て「円に終わりはない、愛にも終わりもない」「ノマドの人々はさようならではなく、またねを使う、そうするとまたどこかで会える、死んだ人にだって会えることがある」など、深い言葉が胸を揺さぶる。

素直で自分の意志が強人とほど、大切な何かを失ったときの喪失感が強いんだと思う。強い喪失感には長い時間と自分を見つめ直す事、そして人との関わりが必要だし、それを本能的に感じ取り、広大な大地も相まってノマドという生活が成り立っているのだと感じた。

デイブはノマドとしての生活、その中での人々との繋がり、自身の病気と手術、孫の誕生、そしてファーンとの出会いと、様々な出来事の末に息子たちとの暮らしを取り戻していく選択をすることになる。その出来事の一部であるファーンもまた、デイブとの関わりによって故郷に保管してある思い出を片付け、前に進んでいくというラストシーンにはパワーを貰える。ラストシーンの道のりは、前とは違う気持ちでノマドを続けるのか、姉の家への道のりなのかは分からないけれど、どちらにしてもファーンにとっては前に進んでいることに違いないと思う。

雄大な自然と風の音は厳しさよりも美しさを感じるし、優しい音楽も相まってトリップ感を味わえる。登場人物たちのブルースやカントリーミュージックもすごく良い。
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