さあや

ノマドランドのさあやのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.2
様々な「生きる」の形をみた。
冒頭は無音、ファーンが旅にでるシーンからやっと音楽が流れ始める。ファーンの「生きる」はそこから始まったのだと思う。

マクドーマンド以外は実際にノマドとして暮らす人達がキャスティングされている事でよりリアルを観ているという感覚、映画というよりドキュメンタリー。

自然の中に生きるノマドが現代の経済社会の象徴のようなAmazonだとかファストフード店だとかで働かざるを得ないっていう皮肉がきいていて良かったなあ

長く生きているほどに増えていく喪失感と向き合い受け入れ共生していくこと、その方法やかかる歳月は本当に人それぞれだと思うけれど、わたしはどうやって喪失感と折り合いをつけていくのかなあと思った。

どこまでも広がる雄大な自然、スワンキーの思い出話を聞いていたらなぜか泣いてた、彼女からの動画でとても報われた気持ちになれた

こういう観た人に委ねるような映画はあまり観たことがなかったけど、すごく良かったなあ
終盤、ファーンが自宅へ戻って来たことも、旅の終わりを意味する訳でもなく、さよならを言うためでもなく、「またどこかで」を残すためだったんだろうな
きっとファーンは旅を続けることをやめないんだと思う、「家は心の中にある」
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