なかなかにリアリティたっぷりな作品。わたしは車上生活とかは正直無理だし、定職も家もないっていう意味での不安定さはきっと受け入れられないから、そういう外の部分には共感は出来なかったんだけど、心を動かされるものに従う純粋さを持っていたいっていう内の部分では、通じるものがあった。スワンキーの人生において、カヤックをこいで見たツバメや美しい景色が生涯忘れない大切なものになっているように、もちろん価値観は人それぞれだけど、物質的なものより、そういう心に感じるものって大切なんじゃないだろうか。大切な人との別れとか、生きていれば、どうにも出来ない悲しい出来事を経験することもあるし、みんななにかしら辛さや寂しさを抱えてるけど、無理にそれを無くしたり、乗り越えようとしたりしなくてもいいのかな、と思った。そういう辛さも一緒に抱えて、毎日を大切に生きていくってことなのかな、と。エンドロールでキャストの名前が皆本名で、どうやらファーンとデイブ以外は実際の車上生活者らしい。違和感無かった。デイブのほうは知らなかったんだけど、女優でありながらどこか素朴な空気感のフランシス・マクドーマンドだからこそできたことかもね。
