終始、美しい客観的視点での描写が印象的だった。
ノンフィクション感を常に覗かせながら、波風の立たない展開の中で、見たもの、聞いたもの、香ったもの全てを、事実として捉えている様は過不足なく美しく思えた。
喪失という「過去」を追い求めている人物が、型破りではなく、勇敢で正直であると肯定されることの意義であったり、同時に「未来」に想いを馳せる意義も考えさせられる。
留まることによる別れと、動き続けることの別れも、たとえ結果が同じであれ、本質的には違うのではないか、またそう信じたい強い意志の表れも垣間見えた。