chabakiさんの映画レビュー・感想・評価

chabaki

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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

4.0

率直に、キャスト変更が第一に印象を大きく変えてしまう。

ストーリー3作目に差し掛かる時点での、特に物語に直結する対称的存在のグリンデルバルドの交代は、違和感を生んでしまう。

年々向上するVFXがよ
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映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ(2022年製作の映画)

3.5

アニメ視聴時の懐かしい面々の再集結と、その当時の事象の整合性を確かめる形式で、ファンを確実に掴んでくるいわば総集編。

アニメで見られない、ちょっとその先のお話を垣間見れるお得感と、各々の角度で切り取
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ガリーボーイ(2018年製作の映画)

3.5

インド特有の宗教観や社会観が常に付き纏い、もっと大きな社会通念として、当然友人や家族、恋人まで皆に蔓延する様を目の当たりにする。

音楽の平等性と、それを可能にしたインターネットは言わずもがな、いつだ
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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.0

一切のごまかしを許さない完成されたミドル以上のヒキの画と、これほどまでに研ぎ澄まされたシンボリックな音の空間演出が凄まじい。

連なる場面の選定と、それがストーリーボードにおいてどんな連鎖、結びつきを
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トールガール 2(2022年製作の映画)

3.5

前作から3年の月日が流れているが、劇中では3ヶ月の時間経過で始まり、脚本を超えた歳月を感じるのがまた一興。

人間関係の変化やそれに伴う当人の変遷みたいなのは、高校という限定された世界の中でさえ描写す
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トールガール(2019年製作の映画)

3.5

「アメリカ」「学園」と連想されるまさにそれというもの。

ヘビーでない軽さと、もたつかないシンプルさは映る映像の中にも如実に溢れていて、心地いい。

表立ったコンプレックスは年齢が故のそれかもしれない
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林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

4.0

「記憶喪失」という負の色濃い様相を、プログラムというある種の「ゲーム」感覚が、同時に心躍る軽やかさをもたらしている稀有な作品。

林檎というモチーフが、場面毎に強烈なメタファーを放つ瞬間がたまらなく愛
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.8

盛大なフリからの回想が、ただのそれではなく、ひとつひとつ意味を持った記憶を覗いていく感覚にさせられる。

カメラワークにしろ、経年変化にしろ、トリガーとなる要素が丁寧に散りばめられていて、残酷な描写に
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.5

健聴者と聾唖者の対照的でありつつも、家族という社会の中で共存する模様が、紆余曲折と共に美しく描かれている。

音がキーワードになる上で、「無音」という表現、状況を残酷かつ鮮烈に盛り込む描写は言い難いも
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ブルー・バイユー(2021年製作の映画)

3.8

回想と現実の交差が、常に示唆的なシンボルの体をなしていて、その描写が美しくも、物哀しい蒼を映し出していた。

順風満帆にいかない、選べなかった運命に対して、想い、悩みそれでも「選択する」ことの覚悟や意
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スティルウォーター(2021年製作の映画)

3.6

シリアススリラーな本作品だが、
随所にやわらかく奥行きのあるアングルが多様されていて、その山谷のある展開に至極適していたように思う。

シリアスとハートウォーミングの狭間が明快なほど、パキッとした構成
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.0

そのギミックと、うっとりする画作りに感服。

横の移動と、縦の移動を上手く駆使した展開と、色の収縮と拡散の度合いが凄まじく黄金比率であったように思う。

途中から頭で理解する領域を突破する意図的な展開
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.5

脚本が本当にいい。

軽妙さと緻密さが混在していて、映像の中での類似点を見る側に立って指し示してくれる感覚。

コメディとシリアスを行ったり来たりしているように思えて終始一貫している瞬間も覗かせる、そ
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キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

4.0

何をもってして起源なのかという流れを、丁寧にかつ大胆に描ける知的性みたいなのが垣間見える作品。

実写とCGの棲み分けがほぼ不透明なほどの画力に圧倒されつつも、待ってましたと言わんばかりの決め打ちが爽
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バジラーオとマスターニー(2015年製作の映画)

3.5

いわゆる大河ドラマのような歴史物の文脈。

「宗教⇔愛」の構図で、それによる戦乱や人間模様を写し出すが、その描写がボリウッド特有のそれが随所に散りばめられており、確実なフォーマット化とカルチャーが感じ
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スパゲティコード・ラブ(2021年製作の映画)

3.5

ただただ画が綺麗で美しい。
ゲームセンターの色味も、スーパーに陳列された商品の色味も、全てが計算された色味。

群像劇の体をなしている以上、各人複数人の世界を描く必要性はあるため、モノローグを多用する
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場所はいつも旅先だった(2021年製作の映画)

4.0

平易で簡潔に完結しているその文章は、耳から脳に、心に浸透していく感覚。

俯瞰の画がなによりも美しく、過不足なくリアルを捉えてる様がたまらなくいい。

オーディオブック等が普及しているなか、視覚的感情
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

久しぶりの規模感というか、テーマ性というか、とにかく超大作を作るぞという意気込みがヒシヒシと伝わってくる作品。

簡単な二項対立ではなく、御家柄や血統を軸にした設定で、その他類推される『スターウォーズ
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クーリエ:最高機密の運び屋(2020年製作の映画)

3.8

銃火器のない、隠密行動というか、本来のスパイとはこういう側面も往々にしてある確かな納得感。

「最高機密」に相応しい日常感が、緊迫切迫というよりは、じんわりと沁みてくる感覚。

ベネディクトカンバーバ
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.5

ただただ、かっこいい。

ありがとうございました、ダニエルクレイグ。

君は永遠にそいつらより若い(2021年製作の映画)

3.5

いい意味での、引きからの裏切りがある。

反芻してくるものとそれに紐づく事象に粗削りさがあり、「窺う」ところから「注視する」段階へと移行していくように思える。

じんわりと広がって、漏れ出てくるような
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.8

瑞々しさと鮮度を落とさない尺間とテンポに引っ張られるように、あの時のあの青春を喚起されるような作品。

「いい顔してるなあ」がいち早く飛び込んでくる。
「好き」や「こういうの撮ってみたい」が詰まってる
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.2

車中という空間が異質で、特異でありながらも、同程度の清廉さと純粋さを孕んでいてひとときも目が離せない。

演出家の本入れがストーリーテリングしていく着想が圧巻でありながら、そこにある関係性の変化が、あ
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アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

3.5

大々的な伏線ではなく、小さな点節々に散りばめられている様が、最後集合体になる感覚に心安らぐ作品。

スポット的シチュエーションは何かの始まりを告げたり、立ち止まったりさせる代名詞的な使いを観られる。
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HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

3.5

日常からの脱却とか、快感悦楽の終末とか、色々当てることは出来るかもしれないが、シナリオよりも細部の拘りに尽きる。

カメラ、ライティングはもちろんだが、音楽、美術、衣装と全て、スタイル売りしているとい
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トゥモロー・ウォー(2021年製作の映画)

3.5

ハリウッドの王道SFといった印象。
「ド派手で、かつ泣ける」という絶対条件を、映像美と俳優陣が補完している構図。

「クリス・プラットが見たい!」を忠実に叶えてくれる。

自分は、『ALL YOU N
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.8

食わず嫌いじゃないけど、後回しに後回しにしていた。

複数の主従関係に近いそれを同時に見ることにより、移ろいと虚いが見られる気がする。

恋や愛ではなければ、執着や依存なのかと思いきやな先をちょっとだ
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“隠れビッチ”やってました。(2019年製作の映画)

3.5

どこかで見たことあるような、聞いたことあるような、誰かが考えてるような、言ったことあるような話なんだけど、何故かみてしまうのは、演者さん方の魅力なのかなと思う作品。

笑って、泣いて、怒って、迷って、
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彼女来来(2021年製作の映画)

4.0

「照明とは」みたいな真髄を見た気がする。
坂道が、脚本的にも、心情的にも意味を成してて、同じアングルで時間経過をこうも克明に表現できるのかという感動とともに、前原さんの存在がきらりと光るシーンの連続だ
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いとみち(2020年製作の映画)

4.2

誰かが誰かに投影できる青春群像劇だが、地域性と時代性を伴って、多様性のある瑞々しさを放っていた。

大自然の中の俯瞰図は、劇中でも回想的一面を覗かせ、キラーショットとして、自分もその場に行きたくなる、
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.0

介護される側のPOVが、なんとも斬新というか、これまでのハートウォーミングさとは違う、スリラー的一面までをも覗かせる作品。

同じ画角と構図を徹底的に貫いて、観る側を、あたかも困惑させる手法と、計算さ
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モテキ(2011年製作の映画)

3.8

中学、大学と、その時々での周辺記憶を鮮明に思い出させる数少ない作品。

共感性周知であり、羞恥であるというか、決してドラマ性だけでない核心をついたメッセージの塊。

コミカルな手法と、ぶっ飛んだ演出の
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.2

終始、美しい客観的視点での描写が印象的だった。

ノンフィクション感を常に覗かせながら、波風の立たない展開の中で、見たもの、聞いたもの、香ったもの全てを、事実として捉えている様は過不足なく美しく思えた
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.0

「性と階層のマトリックス」というか、二軸での分断された構造が、対比され、交差される、良い違和感を感じられる。

結論、皆何かに共通点があり、異質同士の親和性とか、終着点に帰着させるには少々強引な印象も
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