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ノマドランドのneedmakemeのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.7

啓蒙に感化された自分も否めないけど、ノマドたちもその人生全て胸を張って無駄な時間ゼロなんて言えないだろうし、この領域にはまだそこまで辿り着けないかも。まだそんな優等生みたいな虚勢張りたくない、いや正確には張れないってのが本音かな。

困難な状況でも自然と共に在り、それを享受するのを崇高な生き方だ、って手放しに賞賛するのは自分には難しかった。多くが深い悲しみと喪失を持ち合わせていて、その原因の所在はハッキリとしてるから、それに触れず一側面だけ見るのは難しすぎる。

極論かもしれないけど、この美しい世界はノマドでなければ得られないものではなく、追い込まれたノマドたちが見出した唯一のオアシスなんだから、同じ土俵に立たない(立とうとしない)自分たちがそれを賛美する、というのはどうも烏滸がましく感じてしまう。家を持ち、仕事もあったとしても経験できることじゃん。完全に「何様のつもり」だとは思うけど、その気持ちが拭えない。生き方うんぬんも同じな気がする。一週間後にはダラダラと過ごしているだろうに、ここだけお利口さんになるなんてできない、不誠実だ。レビューの中に一過性の感情を残すことを悪いとは思わないけど、この映画に向き合う上ではそれは出来ない。完全にフィクションだったらできたかもしれない、だけどそうじゃないから重みがある。

そんな弁疏を述べながらも、矛盾しながらも、琴線に触れた言葉を残す。

"It was like - it was just so awesome. I felt like I'd done enough. My life was complete. If I died right then in that moment, I'd be perfectly fine."

"One of the things I love most about this life is that there's no final goodbye. You know, I've met hundreds of people out here and I don't ever say a final goodbye. I always just say, "I'll see you down the road." And I do. And whether it's a month, or a year, or sometimes years, I see them again."
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