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ノマドランドのcookieのネタバレレビュー・内容・結末

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

忘れがたい美しい情景を語る時のスワンキー、息子の話をして涙するボブの姿にとても惹きつけられ、演じているようには見えないと感じたとおり、本作に登場するノマドたちの殆どは本人として出演しているという。
厳しい現実からそうならざるを得なかった人ばかりでなく、自分らしくいられるための居場所を求めてそうなった人も。
彼らの姿がドキュメンタリーのようなリアリティをもって映し出されている📽

リーマンショックの煽りで家を失ったファーン。
姉の家を訪れて都合してもらったお金の出どころが、不動産で稼いでいた親族という皮肉。
理解を示す姉の言葉が沁みた。
「人より勇敢で正直なだけ。」

余計なものを剥ぎ取って原点回帰した時、人は自然の中で生きているということに思い至るのを、私自身とても納得できる。
ゴミ、排泄物...「物を持たない自由」を選んだことで、生活が丸々自然の循環の一部となって広大な自然と一体化した感覚を生み、真の人間のあり方を追求して生きているような実感が、彼らの精神的な救いとなっているように見えた✨

ノマドたちが、スマホを頼りに生活しているのは意外だった📱
仕事や生活の情報、離れた仲間の近況などを知るための大事なツール。
車も体力も、どれが欠けても生活は立ち行かなくなる。

自由を選んで失う安定。現実は過酷だ。
デイブのように自然にノマド生活に終止符を打てるのは、放浪の先に心の拠り所となる新たな住みかを見出すことができた時。
息子との関係を後悔していたデイブが二人でピアノを弾く姿には、心が温かくなった🎵

同居を勧められる機会が何度かあったが、私がファーンでもやはりノマドを続けただろう。
車の運転ができないので、現実にはノマドにもなれないけどw😓
「さよならではなく、またね。」

現在リンダは自分で建てたコテージで自給自足の共同生活を送っており、ボブもノマドを卒業しているそうだ🏠

自分に近い年代の人たちの生き方が描かれていてとても興味深く、共感できるところもあり、考えさせられる作品だった。

荒野や岩肌、朝焼け・夕焼けの空など、自然の圧倒的な映像美がファーンを包んでいた🌅

【notes】
●アンジェラのタトゥーに引用されていたのは、スミスの「Rubber Ring」とモリッシーの「Home Is a Question Mark」の歌詞。
Home is it just a word ? Or is it something that you carry within you ?
(「Home Is a Question Mark」より)
●代用教員時代、生徒に暗唱させた「明日も、明日も、そのまた明日も……」は、シェイクスピアの「マクベス」に出てくる「トゥモロー・スピーチ」の一部
●若者(気になった登場人物の一人🌟)に紹介していた詩は、「恋におちたシェイクスピア」にも出てきたシェイクスピアの「ソネット18番」(ファーンが珍しく心の内を覗かせたシーンに、涙ポロポロ💧💧💧)
●ロケ地:バッドランズ国立公園など
https://maps.roadtrippers.com/trips/32395552
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