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ノマドランドのleylaのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.8
リーマンショック後、職をなくし、ノマドになった高齢者が増えたという。アメリカの影の部分と雄大な大地を思い知る作品だった。

ノマドとしての生き方が主役のマクドーマンにハマっていてドキュメンタリーを観ているよう。
実際に彼女は車上生活や肉体労働を経験し、本物のノマドたちと生活を共にしたという。ノマドの人たちは映画が始まってからようやく、彼女が女優だと知ったとのこと。それほどにマクドーマンドの真に迫る演技だった。

ノマドの人たちの現実を静かに映していく。なぜファーン(マクドーマンド)はノマドになったのか、車上での暮らし、肉体労働の過酷さ、人との出会いと別れ、大自然の美しさ。淡々と描いている。

実際にノマドとして生きて行くのは、女性なら危険も多いし、孤独に耐えうる精神力とタフさも必要で過酷だろう。でも、ファーンは家族や安定を再び失う恐怖よりも、寂しいけれど孤独な生き方の方が楽だったのかもしれない。

息子を自殺で亡くした老人が言う。
「この生き方が好きなのは、 
最後に“さよなら”がないんだ。
何百人と出会ったが
一度も“さよなら”とは言わず
いつも“またどこかで”。
実際そうなる。」

日本のホームレスとは違うノマドという生き方、ちょっとだけいいなと思った。アメリカの広大な風景が美しかった。
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