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ノマドランドのitoのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.4
みんな自分で選んだ道を生きているけどどこか寂しさを感じました。青っぽい映像と短調な音楽、そしてファーンが時折浮べるどこか寂しげな、なんとも言えない表情がよりいっそう作品をひきたててる感じがしました。

現代のノマド、ここで描かれているのは大半が高齢者。みんなこれまでの人生で何かを失って何かを取り戻すためにこうしてヴァンで暮らしているのだろうか、なんて考えたり。ノマドに対して最初は世界の片隅にいるマイノリティ、寂しい人というイメージがあったけどこの作品では必ずしもそうじゃなくて、みんなそれぞれ自分が選んだ、自分が生きたいと思える道を進んでいてかっこいいなって感じました。信念を持って生活している、哀しい人達とは一概に言えないです。

ノンフィクションのようなロードムービーで出演されているのは実際ノマドとして生きる方々だと知ってびっくりしましたし、だから一人一人の言葉があんなに心に沈んでいったんだなーと実感。自然な演技で引き込まれました。

ノマドの朝は早いんだなぁ。太陽がまだ登りきってないところから生活がスタートしてていつも彼女達の隣には大きく広がる空から射し込む太陽の光があってそれがなんだか力強くもあって。この作品とても心に刺さりました。生き方は人の数だけあってその生き方が正解かどうかなんて結局自分ですら分からないのかもしれないけれど、正解だと信じて自分が選んだ生活をおくる。今の私に生き方について考えさせてくれました。自分の人生は自分のものなんだから自分がそれでいいと思えたら人と比べる必要もないし、誰かに強要された道を歩く必要もないなーって思えました。素敵な作品。もっと大人になったらまた観たいな。
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