職、家、故郷、家族…、それぞれ何かを失い、経済的に困窮している高齢者のワーキャンパーたち。
さぞかし辛い生活をしているかと思うと、意外とこれもひとつの生き方として考え、自由をそれなりに楽しんでいるようにも見える。人生は旅なんだと考えれば、これもまた旅路の一部。
しかし、壮大な大自然の景色と相まって、フランシスマクドーマンド演じるファーンの喪失感は深い。
ドキュメンタリーを見ているような感覚。
彼らは「ホームレス」ではなく、「ハウスレス」だと言う。
ホームは心の中に存在する。箱としての家がないだけだ、と。
NHKで日本の車上生活者のドキュメンタリーを見たことがある。
それを見て憧れはしないし、絶対に嫌だと思えたのに、
この映画に出てくる車上生活者には、なぜか憧れさえ抱いた。
しかもこんなに叙情的に描かれたら、なおさら…。
劇中の音楽もよかったけど、個人的にはシガーロスが聴きたくなる景色でしたね。
広大な大自然、地形、民族性、考え方、社会情勢など考えると日本ではこうはならないんだろうな。
自分の人生の終盤についても改めて考えさせられる。
静かな感動に浸れる作品でした。
2024年41本目
