ちさいま

ノマドランドのちさいまのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.3
人とうまくやれないわけじゃないのに、なぜか人の輪の中にいても居場所ではないと感じてしまう主人公を、フランシスマクドーマンドが巧みに演じていた。
アメリカの社会情勢が伝わるノマドランドの人たちのリアルな姿。
ファーンも住んでいる町の工場が無くなって家を失ったようだ。そういう人たちが大勢いるのがアメリカの現状で、そんな中からトランプ大統領が生まれたことを実感した。
だけどこの映画の良いところは、こういった人たちを社会情勢の犠牲者として描くだけではないということ。定住して定職につき普通の生活を営むことに馴染まない、生まれながらにノマドの精神を持つ人たちの、何ものにも縛られたくないという希求を否定せずに描いていることに好感を持った。
アメリカ人の底に流れる開拓者精神とか、自らの足で立ち、自由を何よりも大切と感じるDNAも伝わってきた。

ファーンの孤独な旅は続く、というエンディングは物悲しくもあり、孤高の精神をも感じさせた。
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