八雲

ノマドランドの八雲のレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.0
『ここの人たちは多くが高齢で、それぞれ悲しみや喪失感を抱えて立ち直れずにいる。それでいいんだ。それでいい。』

大切な人、安らぐ家、安定した仕事、元気な身体は、いつか必ず失うのだと見せつけられます。

もはや長生きは喪失に耐える罰ゲームにしか思えず、利点も希望も見当たらずとても辛いです。

人生とまともに向き合うには“楽しかったあの頃”が、あまりにもあたたかくて眩しすぎます。

『いままでここで何百という人に出逢ったが、一度もさよならは言わなかった。別れ際にはいつも「またどこかで。」って。そして実際、本当にまた逢える。そしてともに生きた時間を思い出せる。』

どんなに大切にしていても、終わりはいつもあっけなく訪れるので、気負わずになるべく柔らかくいられますように。

儚くて哀しいからこそ、美しくて尊くて面白いのかもしれません。
八雲

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