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ノマドランドのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
1.7
【渡り鳥はどこにも行けない】
ジェシカ・ブルーダーがリーマンショック後増えた漂流する高齢労働者を調査した『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』を『ザ・ライダー』で注目されたクロエ・ジャオが映画化し金獅子賞を受賞。アカデミー賞に近い作品となった『ノマドランド』を東京国際映画祭で観てきました。

原作を読んだ方なら分かるが、横田増生の潜入リポートかと思う程過酷なamazon倉庫の仕事描写があり、映画では描けないだろうなと思っていたら、最初からamazon倉庫労働を描く攻めた演出に「おっ!」となる。

しかしながら、クロエ・ジャオの画で閉塞感を魅せる演出はかなり弱くなり、わかりきっていることを台詞で長々と語り、表面的な仕事描写を並べているだけでガッカリした。

映画的閉塞感描写、誇張した凄惨さからの脱却としてあの演出を観たとしても、ノマドワーカー=希望という図式に当て込み、原作が持つ「憧れの生活」というラベルの欺瞞、そしてアイデンティティを保つ為に欺瞞を信じ込ませるという軸から逸脱してしまい。なんだかなと思った。

最近のヴェネツィアはアカデミー賞の出来レース枠のイメージが強いが、まさに予め『ノマドランド』に金獅子の座があるだけの回だったのかなと思わずにはいられない。

原作感想:【読書感想文】『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』負を隠すポジティブワード↓
https://wp.me/p4UVs0-6uB


詳細感想:【東京国際映画祭】『ノマドランド』どこへでも行けそうで、どこにも行けない↓
https://wp.me/p4UVs0-6zl
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