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ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償のmaverickのレビュー・感想・評価

4.3
2021年のアメリカ映画。米国の政治組織ブラックパンサー党に潜入した男の事実を描いた物語。


『シカゴ7裁判』にも登場したブラックパンサー党イリノイ州支部長のフレッド・ハンプトン。演じるのは『ゲット・アウト』のダニエル・カルーヤ。強烈なカリスマ性を見事に表現し、アカデミー賞の助演男優賞を受賞した。FBIの策略でブラックパンサー党に潜入する男、ウィリアム・オニールを演じるのは『ショート・ターム』のラキース・スタンフィールド。この二人を軸に物語は進んでゆく。

本作を観れば、ブラックパンサー党とは何ぞやというのを知ることが出来る。過激な組織というイメージだが、それに至った経緯なども丁寧に描かれており、考えさせられる内容だ。FBIのやり口は横暴であり、こんなことが許されてよいのかと怒りが沸く。FBIの暴挙を暴く内容であり、映画化したことの勇気は称えられるものである。その内容から、スタジオはどこも映画化に難色を示したそうだ。このような負の歴史を繰り返させないためにも、本作のような映画は必要だ。

衝撃の事実という点でも驚きであり必見。作品としても丁寧で観やすく、潜入している主人公目線での緊張感もたまらない。FBI捜査官役のジェシー・プレモンスも印象的だ。自由のための戦いとは何かを教えられる熱い作品。これは観て損はない一品である。
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